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豊橋アーティスト・イン・レジデンス「ダンス・レジデンス2025」滞在レポート#1

更新日:7 日前

豊橋アーティスト・イン・レジデンス

「ダンス・レジデンス2025」


2026年2月9日(月)~2月15日(日)の間、愛知県豊橋市にある穂の国とよはし芸術劇場PLATにて、「スペシャルニーズの子どもたちに向けた舞台芸術作品創作のための身体リサーチ」を実施しました。

スペシャルニーズの子どもたちとは、障害などさまざまな理由で特別な配慮やサポートが必要な子どもたちのことです。


滞在中は、身体的な感覚を焦点に、以下のような企画を行いました。


公開企画

・おやこでたのしむおどりのワークショップ

 実施の様子はこちら:0〜12ヶ月対象 / 12ヶ月〜24ヶ月

・公開ミーティング


非公開企画

・児童発達支援センターでのリサーチ

・プロジェクトメンバーによる身体リサーチ



このレポートでは、本レジデンスに参加したプロジェクトメンバーが

それぞれの視点で滞在を振り返り、

「わたしたちは何をしたのか」「何をしなかったのか」「何を見つけたのか」

など、それぞれの体験を深めたいと思います。


レジデンスについてはこちら




ダンス・レジデンス2025レポート 小谷松



2月12日から14日までの3日間、ダンス・レジデンス2025にて豊橋に滞在しました。


高山学園で子どもたちと出会い、リサーチシェアで言葉を交わし、

公開ミーティングで対話の場に立ち会う中で、

芸術と福祉がどのように交わり得るのかという問いを、

何度も自分の中で確かめる時間になりました。



1日目|子どもたちの身体と言葉にならないコミュニケーション


初日は高山学園を訪問し、自由遊びや音楽遊びの時間を見学しました。


初対面にもかかわらず、目が合う、声をかけてくれる、活動の場に迎え入れてくれるなど、開かれた関わりをしてくれる子どもたちが多い印象でした。今回自由遊びの時間に見学させていただいたお部屋では、ボールプールに潜る、縄梯子を登る、ブランコに揺られ続ける、静かにボールを並べ続ける子や壁を歩く子など、過ごし方は様々。それぞれの身体の使い方やリズムが異なり、多様な感覚世界が垣間見えました。


音楽遊びの時間では、歌に合わせて冬の身支度をする活動やブロック遊びを通して、子どもたちと私たちの距離が少しずつ近づいていく様子が見られました。髪の毛で大人をつつくといった行動も、言葉以外のコミュニケーションの一つとして印象に残っています。


リサーチシェアでは、場面によって有効な関わり方が異なること、そして短時間で子どもの特性を理解する難しさが共有されました。同時に、「子どもたちに、人は良いものであると知ってもらう」という保育の根底にある考えを、今後さらに深く学びたいという思いが生まれました。



2日目|自然の中で育まれる「できた」の経験


2日目は外遊びの見学から始まりました。

子どもたちは山登りの中で、木の蔦を引いて葉の音を楽しんだり、魚の形に見える木を見つけたりと、自然との関係を自分なりの感性で味わっていました。


登山の途中で調子を崩す子どもに対して、先生方はすぐに手を貸すのではなく、「深呼吸してみて」と優しく声をかけ、子ども自身が回復する力を信じて見守っていました。過度に支援するのではなく、「一人でできた」という成功体験を積み重ねることを大切にしている姿勢が強く伝わってきました。


リサーチシェアでは、園庭でまほさんと子どもが30〜40分ほど踊り続けた場面について共有いただき、その時の動きや関係性を再現しながら、創作のヒントとなる要素を探りました。子どもとの即興的な関わりの中に、作品につながる豊かな素材があることを改めて実感しました。



3日目|公開ミーティングで見えた「正解のなさ」という共通点


最終日は公開ミーティングを実施しました。

参加者の皆さんには、「福祉」と「芸術」をテーマに、関心や疑問をキーワードとして書き出していただきました。福祉施設での表現活動に対する迷いや、創作活動への質問など、現場に根ざした率直な言葉が集まりました。


ある参加者の方は、福祉施設でのダンス発表会の経験を語る中で、「自分なりに取り組んでいても、『あなたじゃないとできない』と言われ、活動が広がらない」という悩みを共有してくださいました。芸術が特別なものとして扱われてしまう現状に対し、「アーティストと福祉施設をつなぐ仕組みがあれば」という意見が生まれ、劇場スタッフから「ぜひ相談してください」と声がかかる場面もありました。対話の中で、新たなつながりの芽が生まれた瞬間でした。


ミーティング後、参加者の方とお話しした際に「支援にも正解はないですからね」という言葉をいただきました。芸術も福祉も、明確な答えがあるわけではなく、試行錯誤を重ねながら関係性を築いていく営みであるという共通点に、最終日に改めて気づかされました。



高山学園の山から見えた景色


おわりに|問いを持ち帰るということ


今回の3日間を通して、子どもたちの身体表現、先生方の関わり方、

そして参加者同士の対話の中に、「人と人が出会い続けること」の大切さを感じました。


芸術と福祉が出会う場は、特別な成果を生み出す場所というよりも、問いを持ち寄り、

揺らぎながら関係を育てていくプロセスそのものなのかもしれません。


この滞在で生まれた問いや気づきが、

それぞれの日常の中で静かに続いていくことを願っています。



社会福祉士・保育士・児童指導員 小谷松





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